中国山地の大規模林道には、山陰ルート（鳥取県、島根県、山口県）と山陽ルート（岡山県美作市～広島県北部～山口県下関市）の二つのルートがある。大朝・鹿野線は山陽ルートの一部で、広島県の大朝町（現北広島町）と山口県鹿野町（現周南市） を結ぶ計画で、２０２２年現在完成しているのは芸北－戸河内区間になる。始点の芸北は、北広島町を走る国道１８６号線の芸北小付近になり、途中県道１１号、国道１９１号と交差し、戸河内側は恐羅漢スノーパークの入口の先になる。案内板によると県道１１号までの６．９㎞は町道に移管しているようだ。戸河内から先は、計画では十方山林道（じっぽうざんりんどう）を舗装拡幅して細見谷渓谷（ほそみだにけいこく）を走る予定だったが、自然環境保護の観点から中断され、緑資源の解散を経て広島県は開発の中止を決定している。現在は十方山林道も通行止となっている。

　１９７６年から工事が開始され、すでに４０年を経過しており路面状況は良いとは言えない。道路の整備もあまり行き届いているとは言えず、雑草や枝、石ころが散乱している場所も多い。一般的な大規模林道に期待するほどの道ではない。しかし、緑が大変豊かで紅葉シーズンは黄色や赤の森林地帯を走る道になり、車両の通行も極小なのでほぼ貸し切り状態で走りを楽しむことができる。展望がいい大佐川を渡る鎧滝橋から県道１１号までは、路面状況も比較的良く大規模林道らしい道になる。

　交差点を過ぎると、道路の整備状況がよくなり走行スピードが上がってしまう。空城川と橋山川沿いの程よいカーブと直線が続き、大規模林道のいい面を充分に感じながらドライブができる。国道１９１号線に交差する少し手前の牧場の草原の中を走る区間は、とても爽快で気持ち良い。近くには小坂まきばの里キャンプ場やけんこうオートビレッジキャンプ場がある。